タンザニアブルーリング
Ethmostigmus sp.
生息地
タンザニア北東部~ケニア南部(推定)
生息環境
地中~地表、サバンナ~疎林の移行帯・火山性赤土土壌 (標高1000~2000m)
推奨温度
23~26℃
※推測生息域はiNaturalist記録・飼育情報・地形データをもとにした仮説です。確定的な分布境界ではありません。
生態 / 考察
黒褐色の背板に青みを帯びた脚を持ち、この脚の色合いが「ブルーリング」という流通名の由来になっています。青の濃さには個体差が大きく、鮮やかなメタリックブルーから淡い青灰色まで幅があり、同じ産地でも色彩がばらつく点が魅力のひとつです。
iNaturalistの観察記録を集めて地図に落としてみると、はっきりとしたまとまりが見えてきました。
記録はタンザニア北東部のキリマンジャロ山麓 (Siha, Hai, Moshi付近) からメル山南麓 (Meru)、そして国境を越えたケニア側のLongido, Ngong, Ruiruにかけて、南北およそ170kmの帯状のエリアに集中していました。写真で見た目が一致する青色個体は、この東アフリカの火山帯まわりにまとまっているように見えます。
記録地点の標高はおおむね1000~2000mの中標高帯に収まっていました。キリマンジャロ西麓のSihaで約1200~1500m、メル山南麓で約1300m、ケニア側のNgong付近で約1800m、Ruiruで約1600mといった具合です。
低地の乾いた平原でもなく、山地の深い森でもなく、サバンナと疎林が入り混じるような環境が共通しています。どの写真でも基質が赤~赤褐色の火山性土壌だったことも印象的で、産地の土そのものが赤いことがうかがえます。
記録された月は1月・3月・4月・7月・8月・12月と乾季・雨季を問わず散らばっており、季節を選ばず地表に出てくることがあるようです。この一帯は日中こそ暖かいものの、標高が高いぶん夜間はかなり冷え込む土地です。
アフリカのムカデというと高温の環境を想像しがちですが、本種が好むのはむしろ涼しめで、昼夜の寒暖差がある環境ではないかと思っています。
「サバンナの種」と一括りにされることもありますが、記録の集まり方を見るかぎり、極端に乾いた場所は避け、ある程度の湿り気が保たれる中標高の土地を選んでいるように感じます。
繁殖については、特別な低温期を設けず年間を通して一定の温度で管理していたところ、持ち腹の個体がそのまま産卵に至りました。
産地に厳しい寒暖の切り替わりがないことを思うと、繁殖に大きな温度変化を必要としないのは、産地の気候とも噛み合っているのかもしれません。
飼育方法
飼育温度は25℃前後を目安にし、高くても26℃程度に抑えます。産地が中標高帯のため、日本の猛暑期には注意が必要です。
夜間にやや温度が下がる分には、産地の環境を考えると自然な条件と言えます。
床材は潜れる深さを十分に確保します。本種はEthmostigmus属の典型的な習性として地中に潜っていることが多く、床材が深い方が落ち着くように見えます。ヤシガラでOKです。
湿度は床材の下層がしっとり湿っている程度を維持し、表面はやや乾き気味でも構いません。産地では乾季と雨季のサイクルがありますが、飼育下では極端な乾燥を避けつつ適度な乾湿の差がある状態を保てば問題ないでしょう。
水入れは飲んでいる場面を直接確認したことはありませんが、入れておくに越したことはありません。
給餌は地上に出てきたタイミングで与えると、ほとんどの場合よく食べます。食欲は見た目の印象以上に旺盛で、しっかり食べ込むと体に厚みが出てかなり太くなります。
潜っている時間が長いため姿を見る機会は限られますが、その分、餌への反応の良さが飼育の楽しさにつながります。
繁殖については、特別な低温期を設けず年間を通して一定の温度で管理していたところ、持ち腹の個体がそのまま産卵に至りました。
地中で産卵していたようで全く気づかず、ある日突然、白いムカデ状態の幼体を抱えた姿で地上に現れました。その後はしばらく、幼体を抱えたまま動き回る姿がよく見られました。
産地に厳しい寒暖の切り替わりがないことを思うと、繁殖に大きな温度変化を必要としないのは、産地の気候とも噛み合っているのかもしれません。
ケースサイズは体長の2倍程度の床面積があれば十分ですが、床材の深さを確保するために高さのあるケースを選ぶことをおすすめします。