ピーチツリーアースタイガー
Aspinochilus rufus
生息地
インドネシア・東ジャワ州アルゴプロ山周辺 (推定)
生息環境
樹洞・岩の割れ目・竹茎内、山地一次雨林 (標高270~880m)
推奨温度
25~26℃
※推測生息域はiNaturalist記録・飼育情報・地形データをもとにした仮説です。確定的な分布境界ではありません。
生態 / 考察
Aspinochilus rufus は東ジャワ州のアルゴプロ山を模式産地とする樹上棲タランチュラです。
種小名の rufus はラテン語で「赤い」を意味し、メス成体の赤褐色~ピーチ色の体色に由来します。
脚のフランジ (縁毛) が羽毛状に発達しており、光の当たり方によっては脚の周囲が赤く縁取られるように見えます。
腹部には暗色の魚骨状パターンが入り、頭胸板は淡褐色で放射状の縞模様が走ります。
オスは全体的に褐色でパターンは不明瞭です。成体メスの脚幅は12~15cm程度で、近縁の樹上棲タランチュラの中では小型の部類に入ります。
現在確認できている産地はアルゴプロ山の周辺のみです。同山は標高3,000m級の火山で、その北麓はプロボリンゴ市に接しています。
iNaturalistの記録もこの北麓側に見られ、1件は岩の割れ目への入居、もう1件は竹茎の地上3~4m付近、入口径約4cmの穴への入居でした。
樹洞という典型的な生息場所に限らず、竹や岩壁といった縦長の空洞構造物を機会的に利用しているものと考えられます。
生息標高が270~880mという比較的低い山地帯にあることは、東ジャワの山岳地帯の中でも低標高側に分布が寄っている可能性を示しています。
赤道に近いジャワ島では季節による気温変動が小さく、後述するとおり私の環境でもクーリング (低温処理) を一切行わずに繁殖できました。このことから、本種は温度の変動を繁殖のきっかけとしない生殖サイクルを持つのではないかという推測もできます。
幼体のうちは半地中性の傾向があるように感じ、成長とともに樹上棲へ移行していくように見えました。
警戒心が強く動きは非常に俊敏で、脅威を感じると即座に隠れ家へ逃げ込みますが、逃げ場がない状況では咬みつくこともあります。取り扱いには十分な注意が必要です。
飼育方法
基本的に適切なサイズのプリンカップで終生飼育できます。
幼体はサイズに合ったプリンカップで飼育し、成長に応じて段階的にサイズアップしてきました。小型種のため成体でも直径10cm程度のプリンカップで十分だと感じています。
ただし、やや広めのケースに移すと給餌反応が上がったように感じるため、そのあたりは個体の様子を見ながら調整しています。これは観察しながら見極めます。
温度は平均25℃前後、高くても26℃程度で管理してきました。
クーリングは一切行っていませんが、それでも問題なく繁殖まで持っていくことができました。
餌はゴキブリ類など一般的な餌昆虫で問題なく、好き嫌いなくよく食いついています。強いて言うならハイイロゴキブリへの反応が良い印象です。
私の環境では3齢程度で導入した個体を約15ヶ月で繁殖まで持っていくことができましたが、適切なサイズのケースで継続的にしっかり給餌することが成長促進の鍵だと感じています。
3齢程度の段階から管理を徹底すれば、成熟までの期間をさらに短縮できるのではないかと考えています。
繁殖時は、土を敷いて樹皮で隠れ家を設けたケースにメスを移し、自発的に営巣するまで待ち、営巣を確認してからオスと同居させました。交接の瞬間は確認できず、オスが食われて諦めていましたが、産卵・孵化へ至りました。
交接後のメスは食欲が著しく高まって腹部が膨らみ、産卵後、およそ2ヶ月で子たちは三齢に達しました。